2016年 年頭のごあいさつ 会長 横山清
2016年 新年のごあいさつ
一般社団法人新日本スーパーマーケット協会 会長 横山清
新年明けましておめでとうございます。皆様には、日頃よりスーパーマーケット業界の発展と協会活動に特段のご協力を賜り、改めて厚く御礼申し上げます。
さて、昨年を振り返りますと、スーパーマーケットの業績は生鮮品の相場高と、食品全般の価格上昇に支えられ、各企業のたゆまぬ努力によって、比較的好調に推移しました。総合スーパーの苦戦が伝えられる一方で、食品スーパーの堅調を支えている皆様の奮闘ぶりには頭が下がる思いです。
しかしながら、最低賃金の改定や人手不足による賃金上昇、また電気代などの光熱費、建設コストも上昇しつづけており、引き続き厳しい経営を強いられています。われわれの実施している「スーパーマーケット統計調査」でも、売上が伸びているにもっかかわらず景気判断が下落しています。税率引き上げ、軽減税率の適用など、税制をめぐる議論が連日報道されたことも、景気の先行き不安につながったのではないかと推測されます。
異常気象や水産資源の枯渇、円安基調の継続、TPPの大筋合意など世界規模のさまざまな要因が、地域社会に大きく影響してくる時代です。スーパーマーケットも、ただ仕入れて売るだけでなく、グローカルな視点が求められます。外国人観光客の増加によるインバウンド消費の拡大や東京オリンピック開催もあり、食品の製造販売時における衛生管理強化も課題となります。協会としても、食品の安心・安全、品質管理、衛生管理などの研究を推進してまいります。
昨年も、多くの自然災害が各地で発生しました。スーパーマーケットは「食のライフライン」として、地域のお客様の命を支える存在です。災害は起きて当たり前、と捉え、地域の食品流通全体で日ごろから連携し、災害時の営業継続のために対応策を整えておく必要があるでしょう。
まもなく東日本大震災の発生から5年が経とうとしており、人々の記憶も薄らいでいます。協会としては、会員が集い交流を深める「全国大会」を今年は仙台で開催します。これからも被災地、被災者に寄り添い、継続的な支援を行ってまいります。
ネット販売の拡大、オムニチャネル化などが叫ばれていますが、リアル店舗の持つ強みは不変と言えるでしょう。電子マネーやセルフ精算レジの普及、冷凍食品技術の向上、プロセスセンター活用など、効率化を図りながら、人と人とのふれあい、商品を選んで買う楽しさが得られる場、地域のコミュニティの中心にスーパーマーケットが位置づけられるよう、さらに地域密着を推進していかなくてはなりません。大手チェーンも品揃えなどで地域対応を重視しつつある中、お題目だけでなく、本気の地域密着が問われるのです。
地域密着のカギは、やはり「人」に尽きるでしょう。協会では、人手不足解消の一助となる事業として、就職活動中の学生に向けて食品産業の魅力を伝える新卒採用支援事業「Rプロジェクト」を行っています。2017年卒業予定者向けには、大学に赴いてのガイダンスや、インターンシップ体験などのプログラムを実施。就職支援イベントの開催エリアを拡大し、食品メーカー、卸、小売に対する興味を深めていただく事業を展開しています。
そのほか、協会ならではの活動として、「お弁当・お惣菜大賞」「ベスト店長大賞」などのアワードの実施、業界3団体合同「スーパーマーケット統計調査」の公表による業界動向の広報、流通BMS普及推進による経営効率化支援などを引き続き実施して参ります。
今年3月には北海道新幹線が開業し、青函圏の経済効果が期待されます。6月には、三重県で伊勢志摩サミットが開催されます。秋には東京の豊洲に新市場が開業する予定です。こうした、地域でのトピックを、その地域はもちろん、全国のスーパーマーケットで活用し大切に扱い、地方創生、経済効果拡大に貢献していかなければならないでしょう。
そして今年、「スーパーマーケット・トレードショー」が、皆様のご支援のもと、50回目の節目を迎えることができました。記念として、東京ビッグサイトの東西全館に規模を拡大し、同時開催展と力を併せ、盛大に開催いたします。
小売、中食、外食、オーガニック業界の垣根を越え、これまで以上に、さまざまな業種業態の来場者・出展者が集い、相互に交流することで新たなイノベーションが生まれ、創発現象が起きることを期待しております。日本の食産業の発展に貢献するよう、開催に向けて準備を進めてまいります。皆様のご来場を心よりお待ち申し上げます。
消費環境は日毎に厳しくなっておりますが、協会設立の目的であるスーパーマーケット業界の認知と地位向上を目指し、また、会員の皆様の進路を照らす灯台としてお役立ちできるよう、協会活動を推進してまいります。
最後になりましたが、関係各位のご健勝とご発展をお祈り申し上げ、新年のご挨拶といたします。