年頭所感 会長 増井徳太郎
平成19年 1月
社団法人 日本セルフ・サービス協会
新年のごあいさつ
社団法人日本セルフ・サービス協会 会長 増井徳太郎
新年明けましておめでとうございます。日頃よりスーパーマーケット業界の発展に、また協会活動にご協力いただき、改めて厚く御礼申し上げます。
振り返りますと、昨年は景気の回復傾向が伝えられながら、生活者にその実感は乏しく、消費環境は依然として厳しい状況にあります。会員企業においては、景気回復により、金利が上昇したため過去の投資の負債は拡大し、また人材の確保が困難になっており、派遣労働者が増え、コストが上昇しています。本年は容器包装リサイクル法の改正施行もあり、またパート労働者への厚生年金適用拡大問題など労働環境も変化し、企業経営に大きく影響しています。
また、本年11月の改正都市計画法全面施行による大型商業施設の開設規制を見据えた駆け込み出店が増えました。他業態による食品の取り扱い、特に生鮮品を扱うチャネルが増えるなど競合は激しさを増しています。免許の取得がほぼ完全自由化された酒類についても、飲酒運転の取り締まり強化の影響もあり、試飲を自粛するなど積極的に販売しにくい状況が続いています。まさに生き残りを賭けた茨の道を進んでいる状況です。今後も法改正や技術革新など、様々な課題が予想されますが、当協会では、その解決のための情報提供を積極的に推進いたします。
人口減少と少子高齢社会の局面は、とくに地方において大きな課題となっています。いまこそ、ローカルで展開してきたスーパーマーケットが、中心市街地の衰退を食い止め、周辺の住民に必要な食料品を販売する機能を担うべきですが、それには我々小売業だけではなく、製造業なども含めた地域全体の活性化が必要でしょう。
昨年4月より商標法が改正され、地域ブランドが制定できるようになり、それに呼応するように、地方自治体や地方銀行等で、地元メーカーさんを集めた産業支援を実施する動きが強まっております。当協会では、その動きに連動し、地方で優れた食品を製造しているメーカーさんと、我々流通小売業が情報交換・商談を行い、ともにビジネスチャンスの拡大を目指す「食のマッチング」事業を通じ、各地で大切に育まれてきた確かな商品を発掘、紹介することによる地域経済の活性化と、その商品を販売するスーパーマーケットの差別化による質的向上を応援しております。
店舗の質的な向上のために最も重要な位置づけとなるのが、従業員の質的向上です。当協会では、教育研修活動や資格検定制度を通じ、流通小売業界の質的向上を支援いたします。
セミナーなどの教育研修活動は質・量ともに拡充し、さまざまな階層・職種に対応するものとしてまいります。また、資格検定制度は「チェッカー技能検定試験」「食品表示管理検定」に続く新たな資格検定を立ち上げ、従業員の目標設定、意識の向上に努めるとともに、昨今の資格試験ブームにも対応すべく、広く受験していただけるよう、認知度を高めて参ります。
また、景気回復により、優秀な人材に流通小売業への関心を高めていただき、将来を担っていただきたいとの思いから、当協会では昨年、高千穂大学と提携を結び、「寄附講座」を開講しました。私も登壇し、学生の皆さんに直接語りかける機会を得ましたが、他にも現場での経験の豊富な講師を紹介し、流通小売業の面白さ、素晴らしさを伝えて参ります。今年はさらに提携を進め、資格試験の取得等にもチャレンジしていただく仕組みづくりに着手いたします。
一昨年施行された食育基本法、ならびに昨年閣議決定された食育推進基本計画に基づき、地域における食生活の改善のための取組の推進、食文化の継承のための活動への支援など、食品関連事業者等による体験活動の機会提供、情報や知識の提供等が求められています。
私どもも行政機関や食育推進団体などと情報交換を行い、流通小売業における食育推進に寄与すべく、情報提供を行える体制づくりを推進します。
システム刷新や物流効率改善、経営品質向上など、会員企業の経営・運営改善に向けた取り組みに対し積極的に調査研究し、情報提供に努めます。そのひとつとして、協会会員による「ISO9001合同認証取得プログラム」を引き続き提案してまいります。そのほか、ローコスト運営を支援すべく、賛助会員企業などのノウハウをとりまとめ、情報提供を推進致します。
私どもが毎年春に主催する「スーパーマーケット・トレードショー」は、昨年より開催規模を拡大し、今回も東京ビッグサイト東ホール全館を使用し、開催致します。皆様のご来場をお待ち申し上げますとともに、関係各位のご健勝とご発展をお祈り申し上げ、新年のご挨拶といたします。