会長 年頭のごあいさつ
新年のごあいさつ
会長 増井德太郎
新年明けましておめでとうございます。日頃よりスーパーマーケット業界の発展に、また協会活動にご協力いただき、改めて厚く御礼申し上げます。
振り返りますと、昨年は人口の減少や高齢化が確実に進行するなか、世界的な原油や穀物価格の高騰、景気後退、さらには金融危機による市場の混乱と円高などにより、とくに製造業での企業業績の悪化が見られました。消費者の財布のヒモは固く、政府の経済対策にも緩むことはありません。
小売業では、まちづくり3法の改正などの効果もあり、大型店の出店こそ減速していますが、それ以外の出店競争は依然として続き、売場面積が減るどころか増え続けています。また、食の安心・安全の確保や環境対策にもコストがかかり、売上、利益を維持していくことは非常に困難な状況にあります。
しかしながら、われわれ小売業にとって優秀な人材を確保できる好機であり、また円高は輸入価格を抑える好機と捉えることができます。国民の食生活になくてはならない存在として、このチャンスを活かし、足腰を強靭なものとしなければなりません。
今後も法改正や技術革新など、様々な課題が予想されますが、当協会では、その解決のための情報提供を積極的に推進いたします。
一昨年来、食品の製造・表示等に関する不祥事が続発し、連日報道される事態となっています。当協会としましては、消費者に確かな商品を提供するため、様々な施策を打ち出しています。
私どもでは、5年前から「食品表示管理士」という資格検定制度を設け、多くの資格者を輩出しています。昨年は受験者数約1,400名を数え、関心の高さがうかがえました。食品表示に関する法律は多岐にわたり、改正も多いため、体系的に学習することが困難といえます。学習するうえでの目標として活用いただける、本資格の受験に挑戦をお待ちしております。
また、昨年よりアメリカ・ニューヨーク州のコーネル大学と提携し、日本の食品流通業の「業界内大学」を目指し、次世代リーダーを育成する「コーネル大学・リテールマネジメントプログラムオブジャパン」を設立いたしました。
現在、第一期生26名を対象に授業を行っており、国内トップレベルの講師陣に加え、コーネル大学からも教授陣を招聘し、グローバル時代の最先端マネジメントを学ぶことができます。商業の現代化とスーパーマーケットの産業化を目指し、「働き甲斐のある会社」「働きたい会社」づくりを支援し、顧客満足と従業員満足の両立を志向しています。
昨年より、バイヤーズ「食」セレクションの事業をスタートいたしました。小売業のバイヤー、バイヤー経験者などの専門家により、商品の味やデザイン、原材料や表示などについて詳細に審査し採点するものです。的確な指摘を受けられ、商品の改良に役立つ事業として出品者より好評をいただいております。
さらに、昨年より “農商工連携”をテーマに、中小規模以下の地域生産者に対して安価で利用できるシステムの提供および販路開拓に向けての人材育成を図る「にっぽんe物産市プロジェクト」の中央エージェントとして、全体のシステム構築とプロジェクト管理を経済産業省より受託しています。全国30の地域エージェントと連携し、地域産品の販路開拓を目指しています。
以前から取り組んでいるスーパーマーケット業界向け展示会「スーパーマーケット・トレードショー」、地方自治体や地方銀行とタッグを組んで、優れた生産者と小売業者が商談・情報交換する機会を設け、ビジネスチャンスの拡大を目指す「食のマッチング」事業と合わせ、地域生産者の活性化による地域経済の活性化と、その商品を販売するスーパーマーケットの差別化による質的向上を応援しています。
私どもが毎年春に主催する「スーパーマーケット・トレードショー」は、今回も東京ビッグサイト東ホール全館で開催致します。皆様のご来場をお待ち申し上げますとともに、関係各位のご健勝とご発展をお祈り申し上げ、新年のご挨拶といたします。